[原子力産業新聞] 2007年2月8日 第2366号 <2面>

解説

電力会社による不正・改ざんの引き続く発表には、一般市民だけでなく、関係者でもうんざりする思いだろう。しかもその不正が一度にではなく、さみだれ式に発表されることから、負のアナウンス効果がもたらす、当該企業、電気事業、原子力発電のイメージダウンも懸念される。

不正・改ざんが起こった時に、不正行為に関わった関係者を批判するのはたやすいことであり、世論・マスコミもそちらへ流れがちだ。しかしどのような不正にも、それをもたらした根本原因があり、これを探り対処することなしに再発を防ぐことは困難だ。例えば、社内に不正を助長するような組織文化はなかったか、業務を行う十分な技術能力はあったのか、各種規定・規則等は合理的か、規制機関や地元自治体との関係は生産的なものだったか、協力会社との関係はどうか。根本原因を深く分析し、それに基づく是正策を検討・実施する必要がある。

特に気がかりなのは、過去の不正・改ざんに関して、長年にわたって調査が行われていることから、現場に疲弊感が見られると伝えられていることだ。現場に責任を押しつけるのではなく、不正の入り込む隙がないような生産的で士気の高い現場作りを通じて、再発防止策を実施していく必要がある。

また、科学的・合理的な規制・規則の導入を通じて、不正防止を行うことも重要である。現場の誰もが納得できる科学的・合理的な規制が導入されれば、不正行為へのインセンティブも自ずから減ることになろう。


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