[原子力産業新聞] 2007年2月15日 第2367号 <3面>

米国 エンリコフェルミ原子力発電所 増設計画を発表 08年末までにCOL申請へ

エンリコ・フェルミ2号機(=写真 BWR、121万7,000kW)を所有・運転するデトロイト・エジソン社(DE)の親会社、DTEエナジー社のA.アーレイ会長兼CEOは12日、原子力発電所の増設計画を明らかにした。2008年末までに建設・運転一体認可(COL)を米原子力規制委員会(NRC)に申請する予定だ。

アーレイCEOは以前に自身が示した、「米国では原子力発電所の運転期間延長に向けた動きは活発化するが、新規建設はないだろう」との見通しを、「まったくの誤りだった」と認め、米国では今後クリーンな原子力発電の役割がさらに拡大すると指摘。DTEエナジー社はエンリコ・フェルミ・サイトへの原子力発電所増設に向け、許認可手続きの申請準備を進めるとの方針を示した。

米国では2005年包括エネルギー政策法により、減税(最初の600万kWまで)やプロジェクトリスクに対する公的保険制度(最初の6基まで)など、新規原子力発電所建設プロジェクトに対する財政面でのインセンティブが与えられている。DTE社はこうした政府による財政支援の対象となることを目指しており、早い段階にCOLを取得しておきたい考えだ。ただしあくまでも建設オプションの保持が目的であり、未だ建設を正式に決定したわけではない。

一方でアーレイCEOは、原子力発電所建設に要する30億ドルのコストの回収問題に触れ、ミシガン州政府に対し、建設コストの回収(電力料金への転嫁)を認めるよう要望した。

また、ネバダ州の反対で紛糾しているユッカマウンテン最終処分場建設計画についても言及。「ユッカマウンテン問題は『安全上の問題』ではなく『政治的な問題』になっており、解決を待てない」との認識を示し、同社は当面の間、使用済み燃料を自サイト内貯蔵する意向を示した。

そして、既存のエンリコ・フェルミ・サイト内貯蔵施設の容量が2010年に限界に達するため、新規にサイト内貯蔵施設を建設するとした。これにより「数十年にわたって使用済み燃料が安全に貯蔵される」という。


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