[原子力産業新聞] 2007年3月1日 第2369号 <1面>

カザフに大型ミッション 経産省が原子力部会で表明 包括的枠組み構築へ ウラン資源確保に動く

経済産業省は2月26日、約半年ぶりに総合資源エネルギー調査会・原子力部会を開き、「原子力立国計画」を受けた行動計画の進捗状況を報告、議論を行った。この中で経産省は、高騰を続けるウラン資源の確保戦略に「カザフスタンが最重要」と位置付け、権益確保のため経済産業大臣、電力会社、商社、メーカーなどのトップからなる「ハイレベル官民合同ミッション」を4月下旬にも派遣する方針だ。

経産省は原子力部会に「ポスト『原子力立国計画』の行動計画」と題する中間報告を提出。同計画で示された、@原子力発電所の新増設とリプレース投資A既設炉の活用B核燃料サイクルの着実な推進と関連産業の戦略的強化C核燃料資源の確保戦略DFBRサイクルの早期実用化E技術・産業・人材の厚みの確保F原子力産業の国際展開支援G原子力発電拡大と核不拡散の両立に向けた国際的な枠組み作りへの積極的関与H原子力と国民・社会との共生I放射性廃棄物対策――などの進捗状況を示した。

世界的な原子力回帰により、ウラン価格は現在、イエローケーキ価格が一ポンド80ドルと、2000年11月のボトムから12倍にも高騰。ウラン需要は15年頃から供給を上回る見通しとなっている。このことから、オーストラリアに次ぎ世界第2位のウラン埋蔵量を持ちながら、日本の輸入量では1%に過ぎないカザフスタンに注目、「ウラン資源確保の最重要地点」とした。

カザフ側は、ウラン鉱山開発のみならず、原子力産業・技術の高度化など、幅広い分野で戦略的協力関係構築を望んでいる。そこで昨年8月、当時の小泉首相がカザフを訪問し、首脳会談でウラン共同開発、ウラン製品・燃料加工役務分野での協力、軽水炉導入支援などで合意、二国間協定締結へ糸口を付けた。

経産省は今後、カザフとの個別の協力案件を包括パッケージとしてまとめることで、両国の戦略的協調関係をアピールするとともに、協力案件の安定性を確保する。

両国政府の包括的合意文書のもとで、協力案件の一括契約や覚書等の合意を目指す。具体的案件としてはウラン権益の取得、スクラップウランの再精製、ペレット加工事業等が考えられている。


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