[原子力産業新聞] 2007年3月1日 第2369号 <4面>

国際共同プロ「MEGAPIE」 長寿命MAの核変換に道筋

日本原子力研究開発機構が参加し、加速器駆動未臨界システム(ADS)用液体鉛ビスマスターゲットの開発を目指す国際共同実験「MEGAPIE」は、このほど世界で初めてメガワットクラスの運転に成功した。

「MEGAPIE」は欧州5か国(フランス・イタリア・ドイツ・スイス・ベルギー)、日本、韓国、米国が参加し、スイスのポール・シェラー研究所(PSI)の核破砕中性子源(=写真)を用い、1MWのビーム強度を持つ液体鉛ビスマスターゲットの開発を目指すプロジェクトで、2000年にスタートした。

今回の実験は様々な基礎実験を経て、昨年8〜12月に行われ、ターゲットは毎秒10の17乗個の中性子を発生、中性子生成率は計算通り固体鉛ターゲットの1.4倍、運転効率でも95%を達成した。

液体鉛ビスマスターゲットの重量は920kgで、鋼製容器に入れられている。ターゲットにはサイクロトロン加速器から575MeVで1.4mAの連続陽子ビームを供給できる。

今回の実験後、ターゲット中の鉛ビスマスは凝固させ、1年半程度貯蔵したあと、内部の構成機器や材料の健全性を調査する。

未臨界に保ちながら強力な中性子源で核分裂による出力を維持するADSは、高レベル放射性廃棄物に含まれる長寿命のマイナーアクチニドを短寿命核種や安定核種に核変換する技術として、実用化が期待されており、J―PARCでは2期計画で実験施設の建設を予定している。

今回の成果は同実験施設に重要な知見を与えるとしている。


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