[原子力産業新聞] 2007年3月8日 第2370号 <2面>

原子力委が公開フォーラム 食品照射への関心高める

原子力委員会は6日、東京・上野の平成館大講堂で公開フォーラム「食品への放射線照射について」を開催した(=写真)。約170名が参加、質疑応答も行われた。

フォーラムでは、内閣府の原子力政策担当室が原子力委員会の食品照射専門部会の審議内容と昨年9月に取りまとめた報告書を説明。続いて科学ジャーナリストの東嶋和子氏の司会により、消費生活アドバイザーの碧海酉癸氏、消費生活コンサルタントの市川まりこ氏、久保寺昭子・東京理科大学名誉教授、久米民和・原子力機構嘱託、田島眞・実践女子大教授、多田幹郎・中国学園大学教授、林徹・食品総合研究所所長の7名がパネルディスカッション。国内外の状況、有用性、安全性、他の処理技術との比較など様々な観点からの考え方が紹介された。

会場からも照射量の上限、照射影響の追跡調査期間、遺伝への影響、放射能汚染食料と照射食品の違い、照射臭の発生度合い、照射施設の安全管理、適切な表示およびトレーサビリティー、照射輸入食品の管理、検知技術、国内で利用が進まない要因、国の政策の今後のスケジュールなど様々な質問が寄せられた。

検知技術について、田島教授は欧州標準法やコーデックス標準分析法が採択されてきており、日本も技術はあるが、公定法がないのは厚生労働省が認定を進めないため、とした。国内で利用が進まない要因についてパネリストからは、「時代は変化しているが国民の関心が低く、社会に認知されない」、「ニーズの声も大きくなかった」などの指摘があった。また、表示の問題を具体的に検討することが重要、合意できる点と検討が必要な点を分けた議論が必要ではないか、などの意見も出された。

同委員会は今月29日に京都でも同様のフォーラムを開催する。


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