[原子力産業新聞] 2007年3月8日 第2370号 <2面>

東電が追加報告書提出

東京電力は1日、検査データ改ざんに関する追加報告書を原子力安全・保安院に提出した。1月末に提出した内容について、原因究明や再発防止策を検討するとともに、追加調査で原子炉スクラムの隠ぺい事案が2件判明した事も報告した。

データ改ざんの原因は品質保証システム、企業倫理・企業風土、安全文化の醸成・定着などの観点から究明した。1月末の報告で法定検査の成立性に問題があるとした柏崎刈羽原子力発電所の事案では、発電部長が原子炉主任技術者を兼務し、牽制機能が発揮されず、工程が優先されたとしている。

再発防止策は意識面(しない風土)、仕組み面(させない仕組み)、仕組み面(言出す仕組み)に分け、それぞれ対策を示した。行動基準の規定内容の充実、企業倫理研修の充実、内部監査機能の強化、第1線職場へのサポート強化などを打出している。

02年の総点検で今回発覚した事案が確認できなかった点では、この総点検の調査範囲が原子炉本体を中心とするもので、併せて当時は改ざん事案を自ら言い出す雰囲気や社会に対して不利な情報を積極的に出していく雰囲気がなかったためとしている。

一方、追加調査では新たに4事案の隠ぺい、改ざんなどを確認した。このうち、同社が特に重大とするのは福島第二1号機(85年)および柏崎刈羽1号機(92年)の原子炉スクラム事象の隠ぺい。定期検査のため原子炉停止操作を行っていたところ、操作の不手際や故障により原子炉スクラムが発生したが、国や地元自治体には報告しなかった。発電部長またはその上位職は、これを報告した場合の煩雑さを回避するために判断したという。


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