[原子力産業新聞] 2007年3月22日 第2372号 <2面>

北陸電力原子力発電所の臨界事故に関する今井原産協会会長のコメント

日本原子力産業協会の今井敬会長は19日、東京電力の法定検査での改ざんに続いて、北陸電力・志賀1号機での臨界事故について、次のコメントを発表した(全文)。

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北陸電力は3月15日、平成11年6月の定期検査中に、同社志賀原子力発電所1号機において臨界に至る事故があり、またそれを国に報告していなかったことを公表した。

臨界状態を制御できなかったことはもちろんであるが、原因究明と対策の前提となる事故情報を報告・公表することなく隠蔽したということは極めて重大な事態であり、原子力事業者への信頼を大きく後退させたと断じざるを得ない。

原産協会は昨年10月、「原子力産業安全憲章」を制定し、原子力産業界の一人ひとりが誇りと責任感を持ち、行動を通じて安全を確実に根づかせることの必要性を社会に発信した。当協会は、原子力産業に携わる者の行動指針として、「マイナス情報の共有」、「透明性ある組織運営」など本憲章の精神が現場第一線まで浸透・定着するよう、現在、活動を繰り広げているところである。

原子力発電所を運営する電気事業者は、現在、国の指示にもとづき、本年3月末の報告に向けて、過去の不正な行為や改ざんについて調査している。このため、本件も含め、各事業者は、過去の膿みを出し切る報告・公表を行い、再発防止対策の策定・実施により社会の信頼を得る取り組みを行なっている。

原子力の健全な発展は、エネルギーの安定供給や地球環境保全の観点から、社会にとって必要不可欠である。このためにも、関係者には、社会の信頼を取り戻す一層の努力を願うものである。


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