[原子力産業新聞] 2007年3月22日 第2372号 <4面>

原子力機構 直接ガスタービン発電小型炉 高効率・高燃焼・低コスト実現

日本原子力研究開発機構はこのほど、高温工学試験研究炉(HTTR)の成果を活用し、実用高温ガス炉として電気出力30万kWで、発電コスト約4円/kWhを達成できる直接ガスタービン発電専用小型炉の設計概念(=下図)を構築した。

今月13日の原子力委員会定例会議で報告した、HTTRを用いた研究開発の進捗と課題の中で明らかにした。

同小型炉はHTTRの設計、建設、運転、安全性実証試験などの成果を活用し、高温ガス炉の特徴である安全性の高さを活かして設計概念を構築したもの。原子力機構では発展途上国でのニーズにも応えられる先進的原子力システムになり得るとしている。

原子炉の出口温度は850℃を達成しており、横置型のタービンは原子炉に直接結合、タービンから出たヘリウムガスは冷却器と再生熱交換器を経由して再び炉心に戻る閉ループを形成する。同ガスタービン、中間冷却なし、蒸気系不要などにより46%の高発電効率を達成可能としている。

高温ガス炉特有の安全性から、格納容器や緊急炉心直接冷却系が不要なため安全設備の大幅な簡素化も可能。またサンドイッチシャッフリングと呼ぶ新しい燃料装荷法の採用により120GWd/tの高燃焼度を達成でき、これらにより発電コストは約4円/kWh(割引率3%、稼働率80%)が可能という。


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