[原子力産業新聞] 2007年3月29日 第2373号 <1面>

経産省 文献調査実施を許可 高知県 東洋町対象に全国初 理解促進活動にも全力

経済産業省は28日、高レベル放射性廃棄物処分場調査候補地選定に向けた文献調査を、高知県東洋町で行うことを原子力発電環境整備機構(NUMO)に許可した。新年度から約2年間かけて、文献情報の収集・整理、地質環境特性などの分析・評価などを行う。許可を受けて実施主体のNUMOは、「地元をはじめ周辺地域の皆さんに、文献調査の内容や手順などについて、事前に十分に説明させていただきたい」としている。

東洋町は全国で最初に文献調査に応募した地点。経済産業省はNUMOが改めて提出した平成19年度事業計画の変更の形で認可した。

同町で行う「文献調査計画書」では@文献調査の位置付けと目的A応募受付から報告書作成までの流れB文献調査の具体的な内容C補充情報収集と「処分場の概要」作成――などが盛り込まれている。次の段階の概要調査地区選定に資するため、当該地区に対応した処分場の概念などの検討まで行う。

東洋町および周辺地域における理解活動では、@新聞・テレビ等の活用、座談会やフォーラムなどの開催A地域住民等との対話活動を図る現地事務所の設置B原子力関係施設の見学会などの実施C地域住民との意見交換を行いながら、地域実態に合った地域共生プランの作成とその実現努力――などを行っていくとしている。

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その東洋町では27日に開かれた町議会の臨時議会で、田嶋裕起町長の再議決定を受けて、22日に一度は可決された放射性廃棄物持ち込み拒否条例と町住民投票条例の再審議を行い、議長も加わった採決の結果、賛成6、反対4で、条例制定に必要な3分の2以上の賛成には達せず、2条例は否決された。

条例制定に動いた住民グループは、田嶋町長のリコール(解職請求)に向けた準備を進めており、4月9日から署名活動を始める予定だ。

同町の有権者は2,996人(3月1日現在)で、3分の1以上の有効署名が集まれば本請求となり、60日以内に実施される住民投票で過半数が賛成すれば、田嶋町長は一度失職することになり町長選挙が行われるが、再び町長選には出馬できる。

原子力施設の誘致関係で首長がリコールされ、直後の再選挙で誘致推進派の町長が再選されたケースには、81年4月同じ高知県の窪川町の例がある。


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