[原子力産業新聞] 2007年4月5日 第2374号 <1面>

勝俣電事連会長が甘利経産相に 発電設備総点検結果を報告 「安全文化構築に活かす」  再発防止策構築が正念場

電気事業連合会の勝俣恒久会長は3月30日午前、甘利明経済産業大臣を訪ね(=左写真)、昨年11月に同大臣から指示された発電設備に関わる総点検の結果がまとまり、同日午後に詳細を報告・公表すると述べ、社会と地域にご心配をかけたと陳謝した。同会長は、すでに退社した社員、メーカー、協力会社社員など「延べ7万人」にヒアリングを行うなど、徹底した調査を行ったと説明、この調査が安全文化を築く上で不可欠だと強調した。(2面に関連記事)

甘利大臣は、電力会社によるデータ改ざんが一つ一つ明らかになるたびに、原子力に対する国民の不信が募ると指摘、すべての膿を洗い出すために総点検を要請。「日本の原子力は世界で一番安全だと思っている」との認識を示した上で、法改正後にはデータ改ざんがないことを、しっかり確認する必要があると述べた。

同大臣は今回の総点検の狙いとして、@過去の小さな事を隠したままでは、その後の大きな事を隠さざるを得なくなるという、改ざんの悪循環を断ち切るA不正を許さない仕組みを構築するB事故・トラブルの情報を国内のみならず国際的に共有し、再発を防止するCこれらの活動を通じ、電力会社の隠蔽体質をなくし企業文化を変える――の4点を強調した。

甘利大臣はその上で、今回の報告を踏まえた対策を4月の早期に提出するよう求め、その内容として、@4つの狙いを達成できる再発防止策A公益事業としての性格と国民の信頼を自覚し襟を正した取り組み――を求めた。また、経産省としても再発防止策を精査した上で、対応する考えも示した。

経産相との会合後の記者会見で勝俣会長(=写真)は、「社会と地域の皆さんにご心配をおかけして申し訳ない」と述べ、これからがこの調査を生かして再発防止策に取り組む「正念場」だと訴えた。また、約30年前の東京電力の臨界事故については「正直、びっくりした」としながらも、「よくぞここまで出してきてくれたな」という気持ちと、「重大なことで申し訳ない」との「両方の心境」だと述べた。

一方で、今後、安全・安定運転をたゆまず行うことにより、社会の信頼を取り戻したいとの意欲を示した。


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