[原子力産業新聞] 2007年4月5日 第2374号 <2面>

文科省作業部会 ITERで報告書 優位性と連携の両立を

文部科学省科学技術・学術審議会の核融合研究作業部会(主査=飯吉厚夫・中部大学総長)は3月22日、報告書案「ITER計画、幅広いアプローチにおけるわが国の推進方策について」を審議、概ね了承となった。前回会合で示された報告書素案の流れに沿い、一部修正を加えた。

ITER計画実施の上で、まず、国際的優位性と国際的連携の両立に向け、参加各極、多様な機関、専門家集団などの間の複雑・重層化した問題を克服すべく、「権限の分配」と「パートナーシップ」の考え方を重要とした。アジア地域における連携活動の可能性から、幅広いアプローチでは、これを拠点として日本の存在感、リーダーシップの発揮にも期待をかけている。

具体的方策では、核融合エネルギー利用の中核機器となるブランケット開発を特に重視し、わが国の原型炉主導権確保につながるよう世界をリードする開発研究推進の必要を述べた。

国内体制では、学術界、産業界などの意見集約を機動的に行う「核融合エネルギーフォーラム」の設置、研究者のネットワーク上での交流を図る「eサイエンス」の導入も提唱した。

また、同作業部会は学術分科会の議論を踏まえ、トカマク、ヘリカル、レーザー、炉工学について、核融合研究の重点化に関するチェック・アンド・レビューも行った。今回報告書では、これらの着実な進展を認めるとともに、今後「一層強力な推進体制の構築」に向け取り組むとともに、ITER計画を成功に導くよう、多様な専門分野の研究・技術者が研究に参加する国内体制の早急な整備の必要性などをうたっている。


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