[原子力産業新聞] 2007年4月5日 第2374号 <3面>

世界の原子力発電開発の動向 原産協会調査 運転中の合計出力が過去最高

日本原子力産業協会は2日、06年末現在の「世界の原子力発電開発の動向」を取りまとめ、発表した。同調査は、世界の電力会社などにアンケート調査を行い、その回答などに基づいて集計したもので、毎年実施している。

それによると、昨年末現在、世界で運転中の原子力発電所は429基、合計出力は約3億8,704万8,000kWで、その前年の439基・3億8,505万4,000kWと比べて、基数は減少したものの、合計出力は前年を上回り過去最高となった。

06年には旧式の8基(合計出力255万kW)が閉鎖されたものの、日本の志賀2号機(ABWR、135万8,000kW)とウクライナのロブノ4号機(PWR、100万kW)が営業運転を開始したため、この2基で閉鎖分をほぼカバーする形となり、基数の減少は合計出力にほとんど影響しなかった。

一方で、これまで把握の難しかった米国の出力増強の確認できた分を集計に反映させたため、世界全体の合計出力は前年に比べて約200万kW増加する結果となった。また今回調査より、研究炉や旧プルトニウム生産炉で、実質的に発電用として機能していないロシアの4基を、ロシア原子力庁からの要請に基づき集計外に分類した。

建設中の原子力発電所は35基・2,940万4,000kW(前年調査36基・3,140万5,000kW)、計画中は47基・5,217万4,000kW(同39基・4,006万kW)となり、建設中は基数・合計出力ともほとんど変らないものの、計画中が8基・1,211万kWも増加しており、世界的に新規の建設計画が拡大してきている状況が浮き彫りとなった。

今回調査で新たに計画入りが判明したのは、ロシア4基(計410万kW)、トルコ3基(計500万kW)、ベトナム2基(計200万kW)の合計9基。なお今回、イラン原子力庁の指摘に従い、イランのブシェール2号機を建設中から計画中に変更、同3、4号機を計画中からも外している。

世界最大の原子力発電国であり、33年以上も新規発注がない米国でも、新規建設に向けた動きが本格化してきている。すでに16件(一部はまだ基数未定)の新規建設プロジェクトがあるほか、原子力発電の経験がない事業者による3プロジェクトも浮上している。早ければ第1号の建設・運転一体認可(COL)が今年10月にも米原子力規制委員会(NRC)に申請されるとの見方が強まっているようだ。

同報告書では、米国、ロシア、インド、オーストラリアなど最近特に動きのある国々の簡単な動向や、運転中、建設中、計画中の世界の原子力発電所の各データが網羅されている。


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