[原子力産業新聞] 2007年4月19日 第2376号 <1面>

北陸電力 志賀1号で解析 即発臨界の可能性も

北陸電力は11日、志賀1号機(BWR、54万kW)で99年の定期検査中に起きた想定外の臨界発生事象について、NHKが同日朝のニュースで、「即発臨界の可能性」との報道を行った件に関して、同社の見解を明らかにした。

同社によると、今回の臨界事故について現在、2通りの条件設定で解析を行っており、「条件の設定次第で『即発臨界』にならない場合もあれば、ごく短時間、一時的に『即発臨界』になる場合もあるなど、当時の炉心状況の推定は変わりうる」としている。

しかしながら、「いずれの解析結果においても、一時的な炉心平均中性子束の上昇は認められる」とした上で、温度が上昇すると核分裂が減少するなどの原子炉が本来持つ『自己制御性』が働き、即座に発生エネルギーが降下し、定格値の1%を下回るような状態に落ち着き、「事象が進展していくような状態にはなく、燃料の健全性も確保されていた」としている。

まして、いずれの解析結果でも、燃料が破損し回りの水と急激に反応する水蒸気爆発はまったく発生しないことが、明確になっている。

即発臨界は、ウラン235の核分裂反応によって直接発生する2、3個の中性子(即発中性子)が、次のウラン原子核に当たって核分裂反応が連鎖的に継続し、臨界状態に至ること。出力の上昇が急激で、制御しにくい特性をもつが、一方で自己制御性が働き、抑制効果も発生する。通常の原子炉運転では、ウラン原子核が核分裂して出てくる中性子と、その際に生じる核分裂生成物がベータ崩壊することによって時間的に遅れて出てくる二次的な中性子(遅発中性子)の両方を利用・制御することによって、時間的余裕が生じ、出力を安定的に制御している。


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