[原子力産業新聞] 2007年5月10日 第2378号 <3面>

「三鉱山政策」を正式撤回 オーストラリア労働党

オーストラリアの野党労働党は4月28日、前日から開催された党大会で、同党が長年にわたって堅持してきた「三鉱山政策」を正式に撤回した。

「三鉱山政策」とは労働党政権下の1984年から1996年にかけて採用された政策で、輸出可能なウランをレンジャー、ナバレク(1988年に閉山)、オリンピック・ダムの3つの鉱山に限定したもの。オーストラリアは国内のウラン需要がほとんどないので、実質的に3つの鉱山以外でのウラン生産を禁止。他の開発予定鉱山に与えられていた暫定的な販売許可は、すべて取り消された。

その後1996年、保守連合政権(自由党・国民党)の誕生に伴い、「三鉱山政策」は連邦レベルでは事実上廃止され、ベバレー鉱山、ハネムーン鉱山、ジャビルカ鉱山の3つが開発された。

しかし労働党は依然として各州の政権を握っており、州政府レベルではその後も、ウラン鉱山の新規開発に反対する政策を継続している。

したがって今回労働党が、正式に三鉱山政策を撤回したことは、州政府レベルでは大きな意味を持つことになる。以前よりウラン鉱山開発に意欲的だった南オーストラリア州のM.ラン首相は、「ウラン探鉱認可申請の急増に備える」とウラン鉱山開発の拡大を示唆している。

一方、連邦政府のJ.ハワード首相は、労働党の政策転換を受け、さらに先を行く政策方針を発表。地球温暖化対策を前面に掲げ、原子力発電所開発などを禁じた環境保護法(1999年成立)の廃止を言明。原子力発電の導入やウラン濃縮の実施に備え、関連法規の整備に着手するとした。

ただし首相は、実際の原子力事業の実施については、あくまでも民間レベルで判断することだとしている。


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