[原子力産業新聞] 2007年5月10日 第2378号 <3面>

IPCC 原子力発電の意義を認める

地球温暖化に関する最新の分析や予測を集約する国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第3作業部会が4日、「商業的に成立する気候変動軽減技術」の1つとして原子力を盛り込んだ『第4次報告書』を発表した。

報告書は、CO換算トンあたり50ドルの削減費用を掛けることで、原子力発電が他電源と比べて優位に立ち、現在世界の総発電電力量の16%を占めている原子力発電が、2030年までに18%に拡大すると予測した。

地球温暖化防止策としての原子力発電の意義を、国連が正式に認めたのは初めてのこと。一方で報告書は、原子力発電開発の拡大を阻害する要因として、安全問題、放射性廃棄物問題、核不拡散等を挙げている。

同作業部会では、当初米国が原子力に対する高い評価案を提示、これに対しドイツ、スペイン、イタリア、オーストリアなどが反対を表明した。結局、オーストリアだけは18%の根拠が不明確などとして、最終案にも同意しなかった。

IPCCには3つの作業部会があり、第1作業部会は気候システムおよび気候変動に関する科学的知見を評価。第2作業部会は気候変動に対する社会経済システムや生態系の脆弱性と気候変動の影響および適応策を評価。第3作業部会は温室効果ガスの排出抑制および気候変動の緩和策をそれぞれ評価している。


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