[原子力産業新聞] 2007年5月17日 第2379号 <1面>

安全委 各原子炉主任者と意見交換

原子力安全委員会は15日、東京の中央庁舎に全国10電力17原子力発電所の原子炉主任技術者を集め、意見交換を行った。経済産業省の発電設備総点検報告を受け、安全委員会は、今後の対応策の1つとして、主任技術者との問題意識共有をあげている。意見交換会には、5名の安全委員の他、高市早苗・科学技術政策担当大臣も出席した。

各発電所の主任技術者からは、現場とのコミュニケーションに重点を置いた日常業務状況などが報告されたが、一方で、原子力安全・保安院が今秋目途に省令改正を検討している「原子炉主任技術者の独立性」に関しては、組織体制との兼ね合いにまつわる問題も指摘された。

冒頭、高市大臣は、一連の発電設備の改ざん・隠蔽に対し、「国民の原子力に対する信頼が揺らいで残念」とした上、「出てきた問題点を肥やしにして、どうすれば再発防止に活かせるかを謙虚に分析して欲しい」と主任技術者らに呼びかけた。

今回の意見交換の趣旨に関連し、鈴木篤之安全委員長は、「現場に根差した」技術の重要性を訴え、最前線で働く主任技術者達の今後の活躍に期待をかけた。また同委員長は、「現場から一番遠い」安全委員会が、「裸の王様」的存在にならぬよう忌憚ない発言を求めた。

主任技術者の規制法上の責務に関連し、保安面での考えと、発電所の経営を考える立場との食い違いについては、各発電所とも大方「問題なし」としているが、今後の省令改正による主任技術者の「独立性担保」が、所内での情報共有に影響を及ぼすなど、「孤立化」につながらないか、という声もあった。


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