[原子力産業新聞] 2007年5月31日 第2381号 <2面>

環境立国戦略まとまる 原子力の推進策も盛込む

中央環境審議会の21世紀環境立国戦略特別部会(部会長=鈴木基之・国際連合大学特別学術顧問)は29日、第10回会合を開催、同戦略策定に向けた提言を取りまとめた。原子力は戦略の1つである「環境・エネルギー技術を中核とした経済成長」の中で、新増設の投資環境整備や核燃料サイクルの技術開発を推進することなどが盛り込まれた。政府は1日にも同戦略を閣議決定する。

同部会報告となる提言案は、@地球環境の現状と課題A「環境立国・日本」の創造・発信B今後1、2年で重点的に着手すべき8つの戦略――により構成する。

審議の中で原子力に関しては、クリーンエネルギーとして推進すべきとの意見と、国民合意や廃棄物処理の問題を抱えているとの意見が交錯する場面もあったが、8つの戦略の1つである「環境・エネルギー技術を中核とした経済成長」の中の1テーマに位置付けた。「原子力を安全確保や核不拡散を大前提に、核燃料サイクルを含め着実に推進するため、新・増設の投資環境整備、科学的合理的規制による適切な活用、FBRサイクル技術や核融合技術などの技術開発や人材育成を実施する。その際、法令遵守の徹底や積極的な情報公開により、原子力に対する国民理解を得ることが重要」などとしている。

同戦略の第1に掲げたのは、気候変動問題の克服に向けた国際的リーダーシップ。この中では今月24日、安倍晋三首相が国際交流会議で演説した「世界全体の排出量を現状に比して50年までに半減する」という我が国としての長期目標の提示などを盛込む。


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