[原子力産業新聞] 2007年6月7日 第2382号 <3面>

英政府 保有BE株を一部売却 売却益はデコミ基金に

英政府は1日、政府が保有するブリティッシュ・エナジー社(BE)の株式の一部を売却した。これによりBE株の政府保有比率は64%から36%に低下。売却総額は約23億4,000万ポンド(約5,635億6,000万円)に達した。英政府の財務アドバイザーは、米投資銀行のラザードが担当。米シティグループ、ドイツ銀行、米メリルリンチの3社が、共同主幹事を務めた。

売却益は、BEが所有する原子力発電所のデコミ(廃炉・除染)のための「原子力債務基金」(NLF)に充当される。英原子力廃止措置機関(NDA)が責任を負っているデコミ対象サイトに、民間のBE所有サイトは含まれていないためだ。

BE株の一部売却については、A.ダーリング貿易産業相が昨年7月に発表していたが、BE所有原子力発電所で機器にクラックが発見されるなどして株価が下がったため、実施は見送られていた。

ダーリング大臣は、今後さらにBE株を売却する可能性も示唆したが、「戦略上の観点から、最低でも29.9%株式は保有する」と言明している。

29.9%という数字について、「BEの海外企業への身売りを阻止するため」とする向きもあるが、アナリストの間では「仏電力公社(EDF)がBEの支配権を確立することもありうる」との声も出ている。BEは以前からEDFと、BE所有サイトでの原子力発電所の新規建設を協議していることを考え合わせると、その可能性も否定できない。

なお5月30日、にBEが公表した決算によると、同社の2006/2007会計年度の総売上高は前年度比16%増の30億ポンドだった。

電力料金高騰の影響で、所有する原子力発電所の計画外停止にもかかわらず、営業利益(政府によるBE救済金に対する返済分引き当て後)が同25%増の7億9,400万ポンドに達している。


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