[原子力産業新聞] 2007年6月21日 第2384号 <2面>

RIBFが初の成果 パラジウム125を発見

理化学研究所はこのほど、RIビームファクトリー(=写真、RIBF)により、新しい同位元素であるパラジウム125を発見した。RIBFとして初めての成果で、現在初期調整段階にある同施設の優れた性能も示した。

パラジウムの安定な同位元素(RI)で中性子過剰なものは質量数が110であるため、今回発見した同位元素は中性子が15個も過剰な同位体となる。ウランを超伝導リングサイクロトロンなどの加速器システムで光速の70%まで加速、生成標的であるベリリウムに衝突させ、核分裂反応により生成。これを超伝導RIビーム分離生成装置で収集・分析し、中性子過剰の新しい同位元素として特定した。

RIBFのRIビーム発生系施設は今年3月に完成、現在、初期調整作業を進めている。理研では今実験で得られたウランビーム強度は最終目標値の約10万分の1、約1億個/秒程度だが、これにより同施設が中重核領域のRI生成能力で世界最高の性能を有することを証明したとしている。

地球上に天然に存在する安定な原子核は約300種類だが、理論的には1万種類の原子核があるとされ、その殆どはRIで不安定な原子核。RIBFでは約4,000種類の不安定核を生成できるが、この内の約2,900種類はすでに知られており、今後、RIBFは残る約1,000種類の人類未踏の不安定核に挑む。


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