[原子力産業新聞] 2007年6月21日 第2384号 <2面>

J−PARC評価部会が最終報告書 運転経費の考え方など示す

文部科学省の大強度陽子加速器計画評価作業部会(主査=井上明久・東北大学総長)は13日、第9回会合を開催、大強度陽子加速器計画中間評価報告書の最終案を取りまとめた。

報告書は計画の進捗状況、前回中間評価(03年)指摘事項への対応、運用体制の構築、利用体制の構築、運転経費の考え方、国際公共財としての取組みなどで構成。

指摘事項への対応で、当面200MeVで運転するリニアックの400MeVへの性能回復について、重点課題であり08年度からの計画着手が適当とし、各施設の第U期計画は個々に財政状況や原子力委員会の評価などを考慮すべきとしている。

運用体制では、国際諮問委員会や利用者協議会などの仕組みを有効に活用し、ユーザーの意見を汲み上げるべきと指摘。施設全体の利用方針はIUPAP(国際純粋・応用物理学連合)ガイドラインに則るべきとし、成果公開課題の利用については原則無償、物質・生命科学実験施設で成果非公開の場合には、J−PARCセンターが提示したビームライン当たり約180〜210万円/日が妥当とした。また同施設の産業界の利用を拡大するためには、まず基礎的な研究分野において早急に成果を創出することが肝要で、これにより産業界の認知度を高めるとともに、トライアルユースが非常に有効であるとしている。

運転経費では施設全体で年間約187億円と算定した考え方は妥当だが、経費削減や国の経費確保策が必要とした。国際公共財としての取組みでは、世界の研究者が魅力を感じることができるよう、総合的な国際化戦略をたてる必要があるなどとした。


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