[原子力産業新聞] 2007年6月21日 第2384号 <4面>

原子力機構/放医研 地球規模の宇宙線マップ実現 航空乗員の被曝管理に

日本原子力研究開発機構と放射線医学総合研究所は共同研究により、地上を含む大気圏内の宇宙線強度分布を精度良く計算できるプログラムを開発した。

地球に入射する宇宙線が地上に至るまでの挙動を最新の数学モデルで記述することにより実現した。高度、地磁気強度、太陽活動周期、周辺環境などを入力パラメータとし、宇宙線の大気中輸送をシミュレーションして、任意の地点における宇宙線のスペクトルを計算する。

これまで地球全域における宇宙線強度分布の日変化を、太陽活動に関する観測データから短時間で精緻に計算することは困難だった。今回は航空機の巡航高度における日々の宇宙線強度のグローバル分布を予測し、画像表示することにも世界で初めて成功した。

放医研ではすでに航路線量計算システム(JISCARD)を運用しているが、新プログラムを同システムに組入れることにより、航空機乗務員の宇宙線被ばく管理が一層高度化できる。


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