[原子力産業新聞] 2007年6月28日 第2385号 <3面>

ベルギー エネルギー省が最終報告書 脱原子力≠撤回か

ベルギーのエネルギー省が設置した専門家パネルは22日、同国の2030年までの長期エネルギー政策を検討した最終報告書を発表し、現行の脱原子力政策の見直しを勧告した。新政権の判断に注目が集まっている。

報告書は、政府が任命した専門家パネルによってとりまとめられたもの。2003年にエネルギー省の委託により着手され、2006年11月に予備報告書を発表していた。

最終報告書は、「脱原子力政策の実施は、ベルギーのCO排出量削減目標の達成を極めて高コストなものにし、経済を混乱させる」と指摘。安価なベースロード電源である原子力発電の強制閉鎖は、電力料金の高騰を招くとし、政府に対し脱原子力政策を撤回し、各原子力発電所の運転期間を延長させることを勧告した。

同時に原子力発電所の発電税を財源にCOの回収・固定や、風力発電の新設、エネルギー研究への投資を行うよう提案している。

ベルギーでは10日に総選挙が実施されたばかりで、現在は新しい連立政権を模索している段階だ。今回発表された最終報告書をどう扱うかは、次期政権が決定することになる。

次期首相に目されているキリスト教民主フランドル党(CD&V)のY.レテルム党首は以前、「原子力発電所の運転期間延長も視野に入れ、エネルギー安全保障を確立しなければならない」と発言しており、脱原子力政策が撤回される公算は高い。

ベルギーで2003年1月に成立した脱原子力法では、電力供給に支障が生じる場合は原子力発電所を早期閉鎖しないとの条件付きで、@原子力発電所の運転期間を40年に限定A新規建設の禁止――が定められた。運転中の7基のうち、2015年に40年目を迎えるドール1号機を皮切りに、2025年には全ての原子力発電所が姿を消すことになる。


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