[原子力産業新聞] 2007年6月28日 第2385号 <4面>

新COEプログラムが決定 東大の原子力教育研究など

文部科学省は15日、国際的に卓越した教育研究拠点形成を目指す「グローバルCOEプログラム」の本年度「採択拠点」63件を決定、発表した。大学院レベルの専攻等を対象に5か年単位の支援を図る取組で、02年度に始まった「21世紀COEプログラム」を充実・強化する形で、本年度、新規に予算立てされた。

本年度は、生命科学、化学・材料科学、情報・電気・電子、人文科学、学際・複合・新領域の各分野で公募が行われ、審査の結果、弊紙関連では、東京大学工学系研究科の「世界を先導する原子力教育研究イニシアティブ」、長崎大学医師薬学総合研究科の「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」が採択された。

東大のプログラムは、岡芳明教授が拠点リーダーで、原子力の基礎・応用科目とともに、法工学、リスク管理、核不拡散などの社会人文系科目も取り入れた「体系的原子力教育」を行い、その上で、原子力エネルギー、放射線応用、原子力社会学の専門教育を展開する人材育成の取組だ。国内研究機関との連携、米国大学との交流により、国際センスの体得、人脈形成も図る。

長崎大のプログラムは、山下俊一教授がリーダーで、「放射線が人に与える健康リスクを地球規模で解明し、放射線の負の遺産を克服する」ことを目標に、チェルノブイリ事故に伴う、外部被曝だけでなく低線量内部被曝者も含めた医療支援、学術研究を中心に、数十万人レベルの調査を行うなど、「国際放射線医療研究」を展開する。また、被爆者の高齢化を踏まえ、発がんリスクに対する包括的医療を在外被爆者も含めて取り組む「原爆医療研究」を推進し、被曝医療学の学問体系を確立する。


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