[原子力産業新聞] 2007年7月5日 第2386号 <1面>

処分地確保へ強化策 地域振興で研究会設置 廃棄物小委が中間取りまとめへ

総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会の放射性廃棄物小委員会(委員長=森嶌昭夫・日本気候政策センター理事長)は6月28日、第11回会合を開催した。エネ庁は最終処分事業による地域振興策を検討する研究会、実規模実証PR施設等を検討する技術WGの設置を盛込んだ中間取りまとめ骨子案を示した。今月25日開催予定の次会合で中間取りまとめを行う。

骨子案「最終処分地確保に向けた取組みの強化策」でエネ庁は、@全国的な広聴・広報事業の抜本的拡充A基礎的広聴・広報活動の強化B国による自治体への積極的働きかけC具体的な地域振興方策の提示D国民理解に資する研究開発及び国際的連携の推進ENUMOなど関係機関の体制、機能強化――を打出した。 前会合で公募方式など現行制度の抜本的見直し論は出ておらず、現在の枠組みを維持しながら、国が前面に出た活動やNUMOの機能強化などの方策を提示した。

全国的な広聴・広報活動では、全都道府県で行政や住民を対象に説明会を開催するとともに、マスメディアの活用も拡充する。基礎的広聴・広報活動は、関心を示す地域で技術セミナー、シンポジウム、見学会などを積極的に開催。併せて全国的に整備された地質データベースを利用し、文献調査へのデータ提供を検討する。

国は応募を待つだけではなく、地方自治体に協力を積極的に呼びかける。市町村だけでなく、都道府県への働きかけも強化し、知事への協力依頼も増やす。

地域振興策では、最終処分事業地域振興研究会(仮称)を設置し、研究所や企業の誘致など誘致型プラン、専門家やNPOによる産業振興など内発型プランの仕組みなどを検討する。調査段階における交付金の活用方策も積極的に提示する。

研究開発や国際的連携では、最終処分事業の安全性に対する理解促進を目指す。同小委員会の下に技術WG(仮称)を設置、実規模実証PR施設、バーチャル処分場など処分事業を体感できる施設を検討するほか、社会的受容性を高めるための概念なども検討する。

委員からは、「施策にプライオリティーが必要」、「施策に期限を設け成果を検証すべき」、「地質データベース活用し、あらかじめ文献調査可能な地域を絞るべき」、「NUMOの体制強化とともに電気事業者もこの事業への強いメッセージを」、「大量消費地から文献調査を進めるべき」、「東京都の応募に期待する」などの意見が出された。


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