[原子力産業新聞] 2007年7月5日 第2386号 <3面>

カナダ NB州 対米電力輸出を拡大 原子力発電所新設も検討

カナダ・ニューブランズウィック州のS.グラハム首相はこのほど、米国ニューイングランド地方の6州知事との会合で、原子力や風力など温室効果ガスを排出しない電源にプレミアムを賦与する、共通の電力市場創設で合意した。ニューブランズウィック州は、ポイントルプロー原子力発電所の増設も視野に入れ、ニューイングランド地方への電力輸出を本格化させる方針だ。

米国ニューイングランド地方は、コネチカット州、ニューハンプシャー州、バーモント州、マサチューセッツ州、メイン州、ロードアイランド州の同国北東部6州を合わせた地方。同地方では5基の原子力発電所が稼動しているが、住民の強い反発により原子力発電所の増設が見込めないことから、エネルギー供給計画に支障をきたしている。

そのため、メイン州に隣接する加ニューブランズウィック州からの電力供給拡大に対する期待は大きい。ニューイングランド地方の電力会社は、2025年までに800万kWの追加設備容量が必要と予測している。

加ニューブランズウィック州は、ニューブランズウィック発電公社(NBPC)を通じて、ポイントルプロー原子力発電所(CANDU、68万kW)を所有・運転している。同州のJ.キアー・エネルギー相は、ポイントルプロー2号機の建設および送電容量拡大に関するフィージビリティ・スタディーを、近く実施する意向を示している。

2号機の候補炉型は、カナダ原子力公社(AECL)製ACR1000(120万kW)、あるいは仏アレバ社製EPR(160万kW)。キアー大臣は「建設を正式に決定したわけではない」としながらも、年内に炉型を選定したい意向を示している。

加ニューブランズウィック州は、ニューイングランド地方へのエネルギー供給の中心地となることを目指しており、新規原子力発電所建設以外にも、LNG基地の容量拡大、新規石油精製施設の建設や風力発電設備の大幅拡大なども計画している。また送電容量を拡大し、加ケベック州からの電力を、自州を経由してニューイングランド地方へ送ることも計画している。


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