[原子力産業新聞] 2007年7月19日 第2388号 <4面>

原子力機構 東洋炭素と共同で 黒鉛の高照射領域を解明へ

日本原子力研究開発機構と東洋炭素はこのほど、超高温ガス炉(VHTR)の炉心材料に使用する黒鉛の中性子照射評価を進めるため、原子力機構の原子力エネルギー基盤連携センター内に共同で黒鉛・炭素材料挙動評価特別グループを設置した。

高温ガス炉には燃料体、反射体、反射体ブロック、制御棒案内ブロック(=写真手前)などに黒鉛を使用。高温工学試験研究炉(HTTR)では中性子照射安定性、強度、耐食性などに優れる東洋炭素の微粒等方性黒鉛「IG―110」を採用している。同黒鉛はHTTR開発のために、中性子照射量約2dpa(照射による格子原子あたりのはじき出し数)まで評価しているが、実用高温ガス炉では約5dpa程度までの評価が必要。

今回の特別グループの設置は、この高照射領域における照射データの拡充を目指しており、高速実験炉「常陽」を使用して黒鉛の高照射での挙動を解明する。東洋炭素は照射装置製作など、原子力機構は照射試験などを分担する。こうした評価は世界に先駆けたものという。


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