[原子力産業新聞] 2007年8月23日 第2392号 <1面>

IAEA 地震調査報告書を公表 柏崎刈羽の教訓を共有

国際原子力機関(IAEA)は17日、新潟県中越沖地震に見舞われた東京電力の柏崎刈羽原子力発電所を調査した専門家チームの48頁にわたる報告書を公表した。「2007年7月16日新潟県中越沖地震に関する柏崎刈羽原子力発電所における初期的な確認事項と教訓に関する調査」と題する報告書では、地震ではプラントの設計時に考慮された地震動の値を大幅に上回ったものの、「定格運転中であった3、4、7号機および起動操作中だった2号機の自動停止は成功裏に実施された」と表明している。

外観観察などに基づけば、「プラントの安全に関連した構築物・系統・機器は、あのような強い地震から予想される状態に対して、はるかに良好な状態にあるようだ」と述べ、これは「設計プロセスの各段階で取り入れられた保守性(設計裕度)によるものだ」と説明している。

ただ、原子炉圧力容器や燃料など重要機器はまだ詳細に調べられておらず、また安全に関連しない構築物・系統・機器などは、地盤や基礎の損壊、油漏れなどの大きな被害を受けた、としている。

耐震安全性の再評価は、今回の地震の教訓を考慮し、最新の規準と手法を用いて実施する必要があると指摘し、サイト直下の活断層の存在の可能性について対処すべきだ、としている。

もう1つ考慮すべき点は、今回の地震による隠れたダメージにより、機器の長期的な運転に影響がでる可能性についてであり、地震と経年劣化の加速との潜在的な相互作用が、将来の検査プログラムにおいて考慮すべき重要な課題となるかもしれない、と指摘している。

調査したのはフィリップ・ジャメIAEA原子力施設安全部長ら6名。(2面に関連記事)


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