[原子力産業新聞] 2007年8月23日 第2392号 <3面>

タイで科学技術フェア開催 日本パビリオンで原子力も出展

タイのバンコク市の国際貿易展示場で8日〜19日の12日間、「科学技術フェア2007」が開催された。国家科学技術開発庁主催で、「国民の科学技術の理解と意識の向上」を目的とし、「知的社会構築に向けての科学」を基調テーマに掲げ、科学技術省、教育省、エネルギー省、工業省、農業・協同組合省、など9省庁、また国家科学博物館、原子力庁(OAP)、シンクロトロン研究センター等も出展した。日本、ドイツ、ロシア、英国など、海外諸国も出展した。

タイでは、8月18日の「タイ科学の日」の前後に科学週間を、また10月19日の「タイ技術の日」を記念する式典を、毎年別々に開催していたが、昨年、「タイ技術の父」と称えられるプーミポン現国王の在位60周年を記念し、これら2つの催しを「科学技術フェア2006」として合同開催の形を取り、6省庁、22大学、海外諸国(日本、中国、オーストラリア、英国)が出展し、100万人の来場者があった。今年はそれ以上の約120万人を超える来場者があった。

10日には、シリントン王女が来場。展示会場を視察し、日本パビリオン来場では、小林秀明・日本国大使、林幸秀・文部科学審議官が案内した。

日本国政府は、科学週間に2004年から毎年協力出展しているが、今回はプーミポン国王生誕80周年に加えて、日タイ修好120周年であり、ヨンユット科学技術大臣からの強い協力要請を受けて、初の「日本パビリオン」の出展となった。

日本パビリオンは、文部科学省と在タイ日本国大使館が主催し、科学技術振興機構が運営にあたった。

エネルギー、環境、健康・食料、防災の4テーマで、計28機関の出展となった。原子力関係機関では日本原子力産業協会をはじめ、日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所、理化学研究所、自然科学研究機構核融合科学研究所が出展した。

原産協会は、原油高のいま、地球環境の保護を考えたエネルギー源としての原子力発電の役割、日本の原子力発電の創成期から技術の国産化、高度化の変遷と現状を示すタイ語のパネルを展示した。またそれをパンフレットにして4,000部配布し、タイ国民への原子力発電に対する理解促進をねらった。

来場者の多くは、タイ全土から先生に引率されて学校行事の一環として来た小中高生で、各ブースに殺到し、展示内容のメモをとって熱心に質問。原産協会ブースには、中越沖地震後の柏崎・刈羽原子力発電所の状況、原子力安全、放射性廃棄物処分等についての質問が多く寄せられた。

タイは、2020年までに電源構成比で10%を原子力発電で賄う「エネルギー15か年計画」を策定中であり、7月には国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長を招請し、タイの原子力発電導入についての助言を求めている。

現地の最近の新聞報道では、「タイ電力公社が2020年の原子力発電所初号機運転開始をめざし60億ドルの投資を準備中」、「2021年までに400万kWの原子力発電所を完成」、「すでに3地点がサイト候補に」、「スラユット・チュラノン首相が原子力発電導入計画に意欲」、あるいは「原子力発電導入の政府決定が10月までになされる見込み」、等の記事が散見されている。


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