[原子力産業新聞] 2007年8月23日 第2392号 <4面>

シニアネット 世界潮流見通しでシンポ 原子力貢献で推進気勢

原子力界で活躍したOB達を中心に、昨年5月、結成された日本原子力学会シニアネットワークが8日、東京・文京区の東大山上会館で第5回シンポジウムを開催した。(=写真)

「エネルギー・地球温暖化に果たす原子力の役割:世界の潮流にわが国はどう立ち向かうべきか?」と題したパネルは、「エネルギー問題について発言する会」と「エネルギー戦略研究会」(EEE会議)との共催。会場には160名を超える参加者が参集した。

午前の部は、金子熊夫氏(初代外務省原子力課長)が日本人は「無資源国」を自覚し、厳しい国際環境下におけるエネルギー安全保障の重要性をもっと認識するようにとの趣旨から、中国・インドを始めとする世界各国のエネルギー大競争時代について講演。引き続き、高橋泰三・資源エネルギー庁原子力政策課長からわが国の原子力立国計画について講演が行われた。

さらに、2050年にわが国のエネルギー自給率50%を達成するためのエネルギー戦略について小野章昌氏(元三井物産)が原子力の大幅な拡大なくして安倍晋三首相が提唱する「美しい星50」はあり得ないことを講演し、斎藤伸三・前原子力委員長代理を座長に質疑応答が行われた。

午後の部では、「過去の反省からの再出発」をテーマに竹内哲夫氏(元原子力委員)が「総懺悔から原子力立国に向けて」と題し、シニアとしての立場から、トラブル発生→不適切な対応と不安報道→国民の不安→規制強化→現場に疲弊、という悪循環を収束させるために、原子力界はどうすれば良いかという問いかけを行ない、これに基づくパネル討論が行われた。

林勉氏(エネルギー問題について発言する会代表幹事)を座長に、辻倉米蔵氏(関西電力常務執行役員)、中村浩美氏(科学ジャーナリスト)、松下清彦氏(日本原子力技術協会理事)、森信昭氏(日本電気技術規格委員会幹事)、吉村宇一郎氏(原子力安全・保安院原子力安全広報課長)、竹内哲夫氏がそれぞれの立場から原子力が抱える様々な課題の紹介と、課題を解決するためには何が必要か、航空機産業の事例や米国の原子力規制改革の良好事例も紹介しながら改善策を討議した。

会場参加者とのやり取りでは、メディアのあり方、品質保証活動、ピアレビューの活用方法、事業者・メーカーの説明責任、中越沖地震時の報道対応などについても意見が交わされた。


Copyright (C) 2007 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.