[原子力産業新聞] 2007年8月30日 第2393号 <1面>

内閣改造 甘利経産相、伊吹文科相が留任 防災相は安全委担当

安倍晋三首相は27日、内閣改造を行い、甘利明・経済産業相、伊吹文明・文部科学相が留任、科学技術政策担当相に岸田文雄氏が就任した。

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甘利経産相は同日夜、経産省で記者会見(=写真)し、原子力について、地震に対する安心に全力を挙げるとともに、新検査制度における定期検査間隔に関し、「プラント毎に判断するというもので、一律に延ばす訳ではない。この点の誤解を取り除きたい」と述べた。

甘利経産相は留任に際し安倍首相から成長戦略の推進、中小企業と地域の活性化、WTO協定の推進、製品安全、原子力安全、エネルギー・環境対策の6項目の指示を受けたとし、経産省の課題としてEPA(経済連携協定)や資源外交の推進、原子力安全を大前提に地球温暖化・エネルギー安全保障・経済成長の一体的解決などを示した。

原子力は今回の地震を教訓とした安全・安心対策の徹底が緊急課題とし、「現在、新耐震指針に基づいてチェックしており、まずこの評価を適確に行うことが重要。併せて地震に対するデータの共有化を国内外で進めたい。今回の地震では情報伝達、自衛消防体制、付帯設備の耐震性などが課題として示されたが、これらへの対策を確実に行い原子力に対する国民の安心を得たい」とした。

また新検査制度に関し、「日本の定期検査の間隔は一律に短い。単にプラントを止めて検査すれば良い訳ではなく、安全性の向上には運転中の検査が効果的という面もある。こうした点の理解に努めたい」と述べた。

27日の内閣改造で内閣府の国家公安委員長兼防災相などに任命された泉信也氏(参院・比例、当選3回、70歳)は記者会見で、安倍首相から食品安全委員会だけでなく原子力安全委員会も担当するよう指示されたことを明らかにした。

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同じく内閣府の原子力委員会などを所掌する科学技術担当大臣に就任した岸田文雄氏(衆院・広島1区、当選5回、50歳)は、「暮らしの利便性の追求のほか、科学技術創造立国をめざして、第3期科学技術基本計画にそった施策を着実に実現させていきたい」と述べた。

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環境相に任命された鴨下一郎氏(衆院・東京13区、当選5回、58歳)は、「地球温暖化対応が人類の最大の課題になっている。来年のG8サミットでも最重要な課題の1つとなる。日本は世界でも最も優れた環境技術を有しており、世界に貢献できる」と語った。


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