[原子力産業新聞] 2007年8月30日 第2393号 <2面>

文科省・原子力研究開発委員会 RI・研廃積立金など審議

文部科学省の原子力分野の研究開発に関する委員会(主査=田中知・東大教授)は22日、来年度概算要求に盛込む新規の重点課題などについて審議した。

審議課題はRI・研廃処分事業積立金、FBRサイクル技術開発推進交付金(仮称)、原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ、ITER計画、固体廃棄物減容処理施設整備、低CO排出社会実現のための革新的技術開発、アジアにおける原子力基盤の研究・協力の中核機能強化、量子ビーム横断利用、量子ビーム基盤技術研究開発・人材育成事業。

RI・研廃処分事業の積立金制度について文科省は、拠出金方式や外部積立方式を検討してきたが、法整備などが難航。このため同省は、事業資金の約9割を占め処分実施主体である原子力機構が、運営費交付金の一部から積立を始めるとの方針を示した。年間40億円程度の積立を計画。他者の廃棄物も原子力機構が料金を徴収して処分する。これに必要な関連法案を次期通常国会に提出する予定。席上、岡ア俊雄理事長は、「最大の課題は立地問題」と述べた。

FBRサイクル技術開発推進交付金は来年度に新設を目指すもので、対象は「常陽」「もんじゅ」。立地地域にFBRの研究開発拠点を置く利点を還元し、地域と共生しながら研究開発を推進し、地元地域の科学技術・学術振興も推進する。交付対象事業は研究開発機能強化、人材の育成と交流、産業の創設と育成など。

ITER計画(建設段階)では中間評価が報告され、今秋にも見込まれる協定の全参加極批准・発効を控え、建設計画、プロジェクト推進体制等が固まりつつあり、日本が製作を分担する装置・機器のうちで、他の参加極をしのぐ成果を挙げている技術もあることなどを報告。ITER機構の専門職に占める日本からの派遣人員が1割程度であることから、産業界からの積極的な人材投入を求める意見も出された。


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