[原子力産業新聞] 2007年9月6日 第2394号 <1面>

岸田大臣 燃料サイクルの推進も 国民の信頼確保に全力

安倍改造内閣発足に伴い新たに入閣した岸田文雄・内閣府特命担当大臣はこのほど、文部科学省・記者会のインタビューに応じた。沖縄・北方対策、国民生活、再チャレンジ、規制改革と多くの施策を所轄する中、特に科学技術関連に焦点を絞って考えを聞いた。

まず当面の施策として、「第3期科学技術基本計画」「イノベーション25」を着実に進めていくとしながらも、基本計画に掲げる研究開発投資目標25兆円の達成については、「大変厳しい。危機感も感じているが、最大限近づけるよう努力する」と述べ、科学技術政策の「司令塔」として知恵を絞っている様子。

厳しい予算規模でも、「やはり人材問題がポイント」とし、若手研究者が活躍できる環境作りに、ハード・ソフト面での改革が必要と訴える。

今回の内閣から、内閣府に置かれる特命大臣の所轄事項のうち、原子力安全政策が科学技術担当大臣から離れ、防災、食品安全の担当大臣の所轄となった。これに関しては、「中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の影響を踏まえ、原子力の安全も他の防災一般と連携して考える必要からでは」と岸田大臣。「安全は全ての基本」とし、原子力を進める上では、十分な安全対策を講じるとともに、透明化を図り、国民の信頼を獲得していくことが重要と述べた。

核燃料サイクルの推進と、一方で最近、取り沙汰される日本の核武装論を巡っては、「間違ったメッセージを世界に与えないよう丁寧に説明していく。唯一の被爆国として、世界の核不拡散をリードしていくべき」と、原子力平和利用の姿勢を明言した。

文部科学副大臣の時、種子島でロケット打上にも立ち会った。まずは「つくばの研究施設を訪ねたい」と現場重視の意向を見せる。

衆議院議員。早大卒後、民間会社勤務を経て、93年に衆院初当選。建設政務次官、文部科学副大臣、衆院厚生労働委員長など歴任。50歳。


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