[原子力産業新聞] 2007年9月13日 第2395号 <1面>

日豪 原子力協力 首脳会談で合意 技術協力も視野に 民間ビジネス協議も

アジア太平洋経済協力(APEC)フォーラムがオーストラリアのシドニーで開催されたのを機に、安倍晋三首相とジョン・ハワード豪首相が9日会談し、日豪高級事務レベル協議での議論を拡大し、次回会合でウラン貿易および相互に関心のある原子力関連事項に焦点を当てて協議することで、合意した。ウラン資源の貿易、輸送、投資問題のほかに、技術および研究協力が議題になるものとみられる。これに合わせて民間のビジネス協議の機会も設けられる予定だ。

両国政府は1982年に現行の日豪原子力協力協定を締結・発効(有効期限30年、自動延長は可)し、これまで主に日本が天然ウランを輸入する関係で、日本にとって豪州が最大の輸入相手国になっている(国内利用の33%、04年)。両国はこれまでの協力を振り返ると同時に、新たな協力分野の可能性についても協議する。

政府間の高級事務レベル協議は毎年開かれているが、次回開催時期はいまのところまだ未定。

両首脳は会談後、「気候変動とエネルギー安全保障に関するさらなる協力のための日本とオーストラリアの共同声明」を発表した。

声明では、世界最大のエネルギー輸入国の1つである日本において、近い将来、豪州が日本の液化天然ガスの最大の供給国になる見通しであることを指摘、石炭、ウランを含むエネルギー外交で、安定的かつ信頼のできる「二国間の強固なエネルギー関係を維持していくことの重要性を再確認した」と述べている。

原子力の平和利用分野では、これまでの関係をさらに強化していくことで合意した。

ハワード首相は、日本も参加して新型炉の開発を進めている「第4世代原子力システム国際フォーラム」(GIF)への参加にも強い関心を示し、安倍首相も参加を支持した。

さらに両首脳は、アジアでの原子力技術に関する一層の協力が、「地域におけるクリーン・エネルギーとしての原子力エネルギーの発展を促す」ことになると表明、日豪、東アジアが共同参画して活動している「アジア原子力協力フォーラム」(FNCA)での放射線利用など原子力応用における活動を通じて、安全文化が発展するよう、協力を拡大する、としている。

また、核不拡散、原子力安全、核セキュリティーなどの確保にも、両国が協力していくことでも一致した。


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