[原子力産業新聞] 2007年9月13日 第2395号 <4面>

東工大21世紀COE ANDRAなど招き 最終処分で国際シンポ開催 日・仏の違いなどを論議

東京工業大学21世紀COEプログラム「世界の持続的発展を支える革新的原子力」は6日、同大学で国際シンポジウム「最終処分地における参加型意志決定過程」を開催(=写真)した。

本シンポジウムは、フランスの最終処分に係わる関係者を招き、日本の関係者とパネル討論などを行い、日本の意志決定プロセスに資することが目的。フランスからベルナール・フォシェ放射性廃棄物管理機構(ANDRA)国際参与、ビュール地下研究所を立地したオート=マルヌ県のアントワーヌ・アルメルシュ県議会副議長、フィリップ・ディリバルヌ国立科学研究センター(CNRS)教授が出席した。

フォシェ参与は、地層処分調査のための地下研究所設立を盛込んだ放射性廃棄物管理研究法制定(91年)、地下研究所の立地候補サイトの選定(93年)、ムーズ/オート=マルヌ両県にわたるビュール地下研究所の選定(98年)、放射性廃棄物等管理計画法による可逆性のある地層処分の決定(06年)などの経緯を解説。

アルメルシュ副議長は同研究所立地のための地元説明会、地域情報監視委員会(CLIS)や公益団体(GIP)との関係などを説明。同研究所に関し、「研究所の誘致は我々の判断だが、そこを処分場とするかどうかは将来の人が判断すべき問題」とした。同計画法では15年に処分場の設置許可申請、25年に操業開始と定められている。ディリバルヌ教授は、最終処分に関し国内で実施した意識調査について解説。「フランス人は科学技術に信頼感を持ち、可逆的に保管しておけば、将来、科学技術が解決するという認識がある。最終的には科学者の判断に任せるというのが国民の一般的な考え方」とした。

パネルには木元教子・元原子力委員、渡辺千仭・東工大教授、渡邊厚夫・エネ庁放射性廃棄物等対策室長、中村政雄・電力中研顧問が参加。渡辺教授は「フランスの民意形成にはポジティブな共振性があるが、日本はネガネガティブな共振性がある」と指摘、アルメルシュ副議長は立地に関し、「政治でやる勇気が必要。非可逆的な処分には圧倒的な反対があった」と述べた。また会場から、日本は最終処分地の確保を目的に段階的な手順を取入れているが、フランスは処分に向け段階的な民意の合意を目指しており、同じ段階的な取組みでもその進め方は異なる、との意見も出された。


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