[原子力産業新聞] 2007年9月20日 第2396号 <3面>

米USEC社のパイクトン濃縮施設 新遠心分離技術の実証試験を開始

米国のUSEC社は14日、同社が開発した新遠心分離法ウラン濃縮技術実証のためのリードカスケードで、試運転を開始したことを明らかにした。試運転で得られたテストデータは、同社がオハイオ州パイクトンに建設中の商業規模のパイクトン遠心分離法ウラン濃縮施設(アメリカン・セントリフュージ・プラント)に反映される。

アメリカン・セントリフュージと呼ばれる新遠心分離技術は、USEC社の主力であるガス拡散法ウラン濃縮技術(濃縮コストの半分以上が電気代)の約5%しか電力を消費しないなど、経済性が高いのが特徴だ。

USEC社は今年の5月、アメリカン・セントリフュージ・プラントを着工したが、今回試運転を開始したのは同じ建屋内で以前から建設されていた実証プラント。同社は開発期間を短縮させるため、新規に開発した機種(AC100)をリードカスケードとして、商業プラントの一部に導入する方策を採用しており、リードカスケードは先月から試運転を開始していた。

商業プラントは総工費23億ドルで、2009年後半にも部分操業を開始し、2012年には全1万1,500基を設置し、フル操業を開始する予定だ。濃縮能力は3,800トンSWU/年だが、USEC社は将来的にプラントをモジュラー建設し、濃縮能力を2倍に拡大することも視野に入れている。ライバルとなるルイジアナ・エナジー・サービシーズ社(LES)のナショナル・エンリッチメント・ファシリティー(NEF)の濃縮能力は3,000トンSWU/年で、来年にも部分操業を開始、2013年にフル操業を予定している。


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