[原子力産業新聞] 2007年9月20日 第2396号 <4面>

中越沖地震の震源断層調査 科振費研究、安全委で報告 「かいれい」も活躍

原子力安全委員会「耐震安全性に関する調査プロジェクトチーム」(主査=佃栄吉・産業技術総合研究所研究コーディネーター)は11日、科学技術振興調整費による「新潟県中越沖地震に関する緊急調査研究」の概要について、産総研より報告を受けた。日本海東縁部の「ひずみ集中帯」において、@海底活構造調査A海域および陸域の構造調査B津波の波源調査――を実施し、既存データの再解析、能登半島地震の緊急調査で得られた成果も総合して、中越沖地震の震源モデルを構築するのがねらい。産総研の他、海洋研究開発機構、防災科学技術研究所、東京大学、北海道大学が参画し現在、調査活動が行われている。

海域および陸域の構造調査のうち、海洋機構が行う「海域反復法地震探査」では、深海調査船「かいれい」(4,628トン)が全長約5,500mもの受震ケーブルを曳航し、水面のエアガンから低周波振動を発振、海底地震計も使用して、反射波・屈折波を探知することで、海陸統合の構造を解明する。また、東大地震研究所の「海陸統合地殻構造探査」では、陸域からのダイナマイト発震を実施する。

文部科学省の地震調査研究推進本部で議論されている本震の震源断層の「南東傾斜・北西傾斜」について、本研究では現時点、主要な破壊面が南東傾斜だった場合、90年前後に取得された音波探査データと04年中越地震で実証された断層褶曲関連の考え方に基づき、「地震発生前に震源断層の位置と形状をある程度特定できた」との見方を示している。一方で、主要な破壊面が北西傾斜だった場合、地震発生前の全データと断層関連褶曲の考え方をもってしても、「震源断層の位置と形状を事前に特定することは難しかった」とした。


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