[原子力産業新聞] 2007年10月4日 第2398号 <2面>

近藤委員長 高レベル廃棄物処分 「再取出し考慮の検討可能」 記者懇で認識示す

原子力委員会の近藤駿介委員長は2日の記者懇談会で、高レベル放射性廃棄物処分に関し、同委員会が地層処分後の再取出しへの考慮を検討することも可能、との考え方を示した。

近藤委員長は、「あらゆるリスクなどを考慮した場合、エスケープルートを設けておくべきでは、との考え方もある」とするとともに、「このテーマは放射性廃棄物小委(総合エネ調電気事業分科会原子力部会の下)の重要な検討事項と認識しているが、同小委が議論の場を原子力委員会に戻すということであれば対応したい」とした。

現在、我が国の高レベル放射性廃棄物の地層処分はこれを最終処分とすることが基本。一方、フランスは昨年6月成立の「放射性廃棄物等管理計画法」で、可逆性のある地層処分を基本方針とすることを定めた。

近藤委員長は、「現在日本が考えている最終処分を実施しても物理的には再取出しは可能だが、いずれにしても坑道を閉めるのは100年後ぐらいであり、その判断は現世代の人にはできない。様々な選択肢を残すべきとの考え方もあると思う」との認識を示した。

原子力委員会は98年に同廃棄物処分に向けた基本的考え方を取りまとめているが、この中で埋め戻さない場合には、その影響の技術的な配慮が必要とするとともに、主坑を埋め戻す場合にはその時期について検討が必要などとしている。

なお、今年5月の衆議院・経済産業委員会の最終処分法改正案審議の中で、民主党の吉田泉議員が埋め戻さない方法の検討を提起。先月の原子力部会での廃棄物小委中間取りまとめ案審議の際には、日本原子力研究開発機構の岡ア俊雄理事長が、「最終処分でよいか検討が必要」との意見を述べている。


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