[原子力産業新聞] 2007年10月4日 第2398号 <3面>

米国 TVAが原子力計画を加速 ベルフォンテ・サイトのCOLを今秋にも申請へ

テネシー峡谷開発公社(TVA)は9月27日、アラバマ州のベルフォンテ・サイトを対象とした建設・運転一体認可(COL)を、今秋にも米原子力規制委員会(NRC)へ申請する方針を固めた。今年5月のブラウンズフェリー1号機の運転再開により、米国の原子力ルネサンス具現化の口火を切ったTVAは、8月にはワッツ・バー2号機の建設再開方針を決定。今回さらにCOLの申請方針を決定したことで、米原子力産業界のトップランナーとしての地位を着々と回復している。

TVAは27日に開催された理事会で、2008年度(今年10月〜来年9月)予算を審議し、ワッツ・バー2号機建設コストとして3億1,700万ドルを手当て。同時に、ベルフォンテ原子力発電所建設プロジェクトのCOLを申請する方針を正式に決定した。

これはTVAが、原子力発電所の新規建設に向けた新しい許認可プロセスの実証を目的として設立されたコンソーシアムであるニュースタート・エナジー・デベロップメントの一員として、アラバマ州ベルフォンテ・サイトへAP1000を2基建設するCOLを申請するもの。

今秋にもNRCへ申請され、早ければ2011年にもCOLを取得する見込みだ。

ただし実際に建設を開始する際には、事前に理事会で再度協議することとされている。

COLを取得した段階でTVAは、@何もしないA自社のみで建設するB他社と共同で建設するCCOLを他社へ売却する――の4オプションを持つことになる。

アラバマ州選出のJ.セッションズ上院議員は、「ベルフォンテ・サイトのCOLが認可されれば、米国のエネルギー自立を促進する原子力産業界の中でも、TVAはリーダーシップ的な地位を占めることになる」と手放しで賞賛。アラバマ州のB.ライリー知事は、「ベルフォンテ原子力発電所が建設されれば、アラバマ州は産業誘致に有利となる十分な電力供給力を確保する。産業誘致を通して、州経済はさらに発展する」と強い期待を示した。

TVAは1974年、バブコック&ウィルコックス社製PWR(123万5,000kW)2基からなるベルフォンテ1、2号機を着工した。しかし、1979年に起こったTMI事故の影響で新たな安全規制が要求され、NRCによる運転認可の審査が大幅に遅れたことや、オイルショックに伴う電力需要自体の低迷などから、60億ドルを費やした建設工事は中断。1988年から、サイトは長期保存状態に置かれていた。

その後、2002年に米エネルギー省が発表した『原子力発電2010プログラム』(2010年までに新規原子力発電所の建設を目指すプログラム)を受け、2004年にニュースタート・エナジー・デベロップメントなどのコンソーシアムが発足した。

そしてTVAは2005年9月、長期保存状態にあるベルフォンテ・サイトを候補サイトとし、ニュースタートによる原子力発電所建設プロジェクトを発表した。

COL申請にかかるコストは、DOEとニュースタートとで折半される。ニュースタートのM.クレイ社長は、「ニュースタートは今後も、NRCが実施するCOL審査に対し、素早く的確な対応ができるよう支援していく」とのコメントを発表している。


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