[原子力産業新聞] 2007年10月11日 第2399号 <1面>

産学人材育成が初の全体会合 服部理事長 大学設備改善など要請

経済産業省、文部科学省、日本学術会議および産業界、教育界の参画による「産学人材育成パートナーシップ」が3日、都内で、第1回全体会合を開催(=写真)し、産業分野別8分科会(情報処理、電気・電子、経営・管理人材、機械、原子力、材料、化学、資源)から課題等を吸い上げ、今後の方向性を議論した。人材の育成で、教育界が注力する点と産業界が期待する点とでズレがある現状から、双方向からの対話・行動の場を設け、産学連携の好循環を促す役割分担・協力関係を目指す。

初回会合に際し、甘利明経産相は「日本の発展には人材の向上が鍵」、渡海紀三朗文科相は「科学技術創造立国のためには人材が不可欠」などと述べ、各所管の立場から「人作り」への意気込みを示した。

各分科会からは、服部拓也・原産協会理事長が原子力分野を代表して、大学における原子力専攻の学生・学科減少、設備の老朽化といった現状から、カリキュラム・教材の整備が急務と訴えたほか、原子力を支える基盤技術分野での産業界との協力、規格基準策定が評価される仕組みを求めた。

資源分野では、山冨二郎・東京大学工学系研究科教授が、海外現場の増加、探鉱開発地域の条件悪化の一方、メジャー企業との戦略提携、先進技術の進歩などを背景に、多様かつ専門的なスキル、国際感覚を身に付けた「資源人材」育成の必要を述べた。

今後の方向性について、産業界への期待としては、@人的・資金的な面での教育界への協力A教育界における人材育成への取組の評価と育成の継続――が、大学側への期待としては、@社会や経済の動向を踏まえた教育改革A教育の質の保証B国際化・多様化の推進――があげられ、パートナーシップ活動を通じ協力関係を構築していく。

本パートナーシップには、産業界から、日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所、教育界からは、国立大学協会、公立大学協会、私立大学協会、私立大学連盟の幹部がそれぞれ委員として参画するほか、経産省、文科省、日本学術会議はオブザーバーとして出席する。


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