[原子力産業新聞] 2007年10月11日 第2399号 <3面>

EDF、英国での新設を提案 英政府に申し入れ

英国で電力小売事業を手がけているEDFエナジー社は8日、原子力発電所の新規建設について検討中の英国政府に対し、新設を認めるよう要請する内容のパブリック・コメントを提出した。その中で同社は改めて、「初号機を2017年までに運開させることが可能」とする見解を示した。英政府は今年5月、原子力発電所の新設に関する評価報告書を発表。同報告書に対するパブリック・コメントを受け付けていた。

EDFエナジー社は、英国では今後15年間で大部分の原子力発電所と石炭火力発電所が閉鎖されることから、発電設備容量の不足分は、2015年末で3,300万kW、2025年末で3,300万〜5,200万kWに達すると予測。エネルギー・セキュリティやCO排出量削減の観点から、「原子力は今後とも英国の電源ミックスの中に組み入れられるべき」との考えを示した上で、原子力発電所新設の最終判断は民間事業者が下すべき事項だと指摘。政府の役割は新設に向けた側面支援に限定すべきだとし、政府からの補助金も一切不要だと強調した。

そして、資金面以外での政府の支援策が的確に実施されれば、2017年までに初号機を、2025年までに計4基の原子力発電所を、EDFエナジー社単体で、あるいは他の出資者と共同で運開させることが十分可能だと主張。

そのために必要な政府による支援施策として、@新規建設計画に関する申請手続きの合理化A新設サイト特定のための戦略的サイト評価に関する保証B採用炉型の事前設計認可の実施C新たに生じる放射性廃棄物などバックエンド問題への対応――等を実施するよう要請した。

仏電力公社(EDF)の100%子会社であるEDFエナジー社は今年の4月、英国での原子力発電所の新設を検討していることを発表。ブリティッシュ・エナジー社(BE)と共同で、初号機を2017年内に運開させる方針を明らかにしていた。そして10月までに、新規建設に関する経営判断を下したいとの考えを示し、英国政府の明確な態度表明を促していた。

BEには単独で原子力発電所を建設する資金力がないが、原子力発電所の運転経験を積んだ技術者と、原子力発電所に最適なサイトを抱えている。EDFエナジー社は、新規原子力発電所をBEが所有するサイト内に建設し、発電所の所有権を両者で案分する計画のようだ。

採用炉型は仏アレバ社製EPR(=写真 160万kW)。同社は今年6月に、事前設計認可を英当局に申請している。


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