[原子力産業新聞] 2007年10月26日 第2401号 <3面>

ベクテルが主契約者に 米国唯一の建設計画 ワッツ・バー2号機

テネシー峡谷開発公社(TVA)はこのほど、ワッツ・バー2号機(=写真、ウェスチングハウス社製PWR)の建設再開プロジェクトのエンジニアリング/資機材調達/建設作業に関する主契約者として、米エンジニアリング大手のベクテル・パワー社を選定したことを明らかにした。同機は1973年に建設認可を取得しており、米国で乱立する多くの建設プロジェクトがいずれも正式な建設決定に至っていない中で、旧手続きに基づくものとはいえ、唯一の正式な建設プロジェクトといえる。

同プロジェクトは、1985年以来建設作業が中断されているワッツ・バー2号機を、5年間、24億9,000万ドルを投じ、2008年に着工、2013年に運開させるもの。すでに今年度(2007年10月〜2008年9月)予算として、3億1,700万ドルの建設コストが手当てされている。

TVAは今年8月に同プロジェクトを正式決定した後、主契約者を選定するため、過去の実績に基づき5社を指名した競争入札を発表。うちベクテル・パワー社とショー・グループ(ストーン&ウェブスター社)の2社が応札したが、「総合的に判断してベクテル・パワー社を選定した」(T.キルゴアTVA社長兼CEO)という。

またキルゴアCEOによると、今年5月に完了したTVAのブラウンズフェリー1号機の運転再開プロジェクトでの実績も考慮されたという。同運転再開プロジェクトは四年半、18億ドルをかけて実施された大規模な改修工事で、規模としては新規建設にも匹敵。エンジニアリングおよび技術サービスをベクテル・パワー社が、改修作業をストーン&ウェブスター社らが担当していた。

ワッツ・バー2号機の工事進捗率は60%と見積もられており、原子炉建屋、タービン建屋、コントロール建屋や冷却塔など主要施設はすでに建設済みだ。今後の建設作業は、細かな内部機器の点検・交換が中心となる。また、ツイン・ユニットである1号機と同様の出力増強(116万5,000kWから118万kWへ増強、いずれもネット出力)や改良工事も実施する。

今後TVAは、建設作業を開始する120日前までに、原子力規制委員会(NRC)にワッツ・バー2号機の建設再開を正式に通知。建設作業と並行してNRCへ、安全解析書の最終版や環境影響評価報告書等を添え、運転認可を申請する。またNRCも、同認可の発給に先立って独自の環境影響評価を実施することになる。

一方TVAは、ワッツ・バー2号機プロジェクトの懸念材料として、NRCによる運転認可発給時期の不確実性を挙げている。現在NRCは大幅な人員拡大など、新しい許認可手続き(10CFR52)に基づく新体制を整えているが、旧手続き(10CFR50)に基づいた審査に関しては不透明な要素が多いようだ。


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