[原子力産業新聞] 2007年10月26日 第2401号 <5面>

原子力の健全な発展を目指して

研修で受ける講義は55ユニット。原子力の将来に向けての世界的な課題が中心である。世界のエネルギー情勢、原子力の経済性、開発動向、新技術、放射線防護、廃棄物管理、原子力法、核不拡散、パブリック・コミュニケーションなど。発展途上国も含め世界全体として、原子力平和利用が健全な発展を目標にしているので、原子力法と核不拡散問題に多くの時間が割り当てられていることが特徴である。

講師は全部で32名、ヨーロッパ14名、北米8名、アジア10名。今回は韓国開催でもあり、日本からは4名。筆者の他に日本原子力研究開発機構の梅木博之氏と日野竜太郎氏、電力中央研究所の七原俊也氏が担当した。

期間中に、WNA事務局長のJ.リッチ氏、OECD/NEA事務局長のL.エチャバリ氏、元IAEA事務局長のH.ブリックス氏、CAMECO社長のG.グランディ氏、CEA原子力局長のP.プラデル氏など、原子力界の著名人16名が特別講演者として参加した。そして研修生や講師をサポートした経験豊富なメンターは全部で14名、ヨーロッパ6名、北米5名、アジア3名の陣容である。

研修の主役である研修生は35か国から102名が参加、開催国の韓国から13名、アメリカ12名、カナダ9名、フランス7名、ドイツ6名、中国5名、イギリス4名、ルーマニア4名、その他の国は1名から3名の参加である。日本からは2名、東京工業大学とGNFジャパンの方が参加された。

研修の募集要項では、原子力分野のリーダーを目指す者で、大学院修士課程以上の原子力の知識と、国際交流を十分に図ることができる英語能力が要求される。年齢は35歳以下とされている。今回の参加者をみると、現役の学生は7名、社会人が96名。男女別では、女性22名、男性80名。技術系91名、事務系11名で平均年齢は32歳であり、年齢制限はあまり厳格でないようだ。

約1万ドルの参加費は研修生の所属元が負担するが、発展途上国に対してはIAEAの支援があり今回も22名が支援を受けて参加した。また韓国の産業界の支援でも9名が参加している。ある発展途上国から2名参加していたが、自国で100名を超える応募者から選抜されたという。確かに真剣さと意欲があふれていた。

6週間の間には、韓国の原子力関係施設の視察の他に、韓国の文化的スポットの見学もプログラムされている。また、研修の前半で、韓国の言語、文化、歴史が、ソウル大学などの教授による特別講演で紹介される。筆者が参加した日に運良く韓国の歴史の講演があった。古代から近世、現在に至る歴史をたっぷりと拝聴した。韓流時代劇の人気TVドラマの王朝時代や日本への文化の流れなど、興味深い内容であった。しかし日本による占領時代に韓国国民が強いられた苦悩が紹介された時は、さすがに居づらい思いであった。


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