[原子力産業新聞] 2007年11月1日 第2402号 <3面>

2030年の原子力見通し 設備容量は大幅拡大 シェアは低下傾向

国際原子力機関(IAEA)は10月23日、世界の原子力発電開発の現状と今後の見通しをとりまとめ、「世界の原子力発電設備容量は、控えめに見積もっても2030年には4億4,700万kWに達するが、原子力シェアは若干低下する」との予測を明らかにした。

IAEAは2030年までの原子力発電見通しを、@原子力ルネサンスが着実に進展A新規導入を検討する諸国には国際協力の枠組みで導入支援B地球温暖化への懸念が高まる――と仮定した「高成長ケース」と、@OECD諸国での経済成長率が低いA反原子力の世論により各国政府が原子力オプションを断念B原子力の新規導入を検討する諸国で導入計画が頓挫――とした「低成長ケース」の2ケースに分類して検討。

具体的には、低成長ケースでは「現時点で建設中の原子力発電所が、すべて運開する」ことのみを想定、高成長ケースでは「建設中の原子力発電所に加え、ある程度確度の高い新規建設プロジェクトも実施される」と想定した。そして、2006年には3億7,000万kWだった原子力発電設備容量が、2030年には低成長ケースで4億4,700万kWに拡大。高成長ケースでは、6億7,900万kWに拡大すると予測した。いずれのケースでも、運転寿命の終了にともなう廃炉が考慮されている。

また、2006年には17兆5,250億kWhだった総発電電力量が、2030年には低成長ケースで25兆7,850億kWh、高成長ケースで38兆6,020億kWhに拡大すると予測されている。そのため、2006年に15.2%だった総発電電力量に占める原子力シェアは、2030年には低成長ケースで12.9%、高成長ケースで13.3%となり、いずれも低下傾向にある。

2006年から2030年にかけた原子力シェアの変化を地域別に見ると、今後原子力シェアが大幅に拡大するのは、東欧地域(17.8%→低成長ケースで23.0%、高成長ケースで19.9%)と中東および南アジア地域(1.6%→6.4%、9.2%)。逆に大幅に縮小するのは、西欧地域(29.1%→14.5%、21.1%)だという。


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