[原子力産業新聞] 2007年11月8日 第2403号 <1面>

放射性廃棄物小委 基本方針の改定作業開始 高レベル最終処分 回収可能性、技術WGで検討へ

総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会の放射性廃棄物小委員会(委員長=森嶌昭夫・日本気候政策センター理事長)は1日、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針と計画の改定、およびTRU廃棄物の最終処分費用・拠出金単価算定方法の審議を開始した。また、複数の委員から高レベル放射性廃棄物の地層処分後の回収可能性を検討すべきとの意見が出され、同委員会として技術WGで検討する方針を示した。

基本方針は施設建設地選定、理解増進、最終処分実施、技術開発などの事項を定め、現行方針は2000年の制定。計画は廃棄物の量や処分時期、施設の規模や能力などの事項を定め、5年毎に見直す。ともに特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)の規定に基づき経済産業大臣が定め、閣議決定を必要とする。

今回の改定は今年6月に成立、来年4月1日施行予定の改正最終処分法に伴うもの。基本方針では、@処分費用の拠出義務を課す事業者に再処理施設等設置者を追加A第2種特定放射性廃棄物(TRU廃棄物の一部)の最終処分の基本的方向に関する規定の追加B最終処分事業の安全規制が原子炉等規制法に規定されたことへの対応――などが必要。計画では代替取得を踏まえた第2種特定放射性廃棄物の発生量、同廃棄物の最終処分施設の規模や能力などの改定が必要となる。

今会合では、「平成40年代後半を目途」としている処分開始時期は変更しない方針で一致するとともに、「喫緊性の強い意志を示すべき」、「技術開発はNUMOへの技術移転を前提に」、「基本方針に事業の社会的な重要性を盛込むべき」、「交付金による地域支援措置の意味を正しく伝える内容を」などの意見が出された。エネ庁では次回会合で、今回の議論を踏まえた両素案を示す方針。

一方、回収可能性を検討する技術WGは、地層処分の超長期にわたる安全性を説明する手法の開発などを目的に設置を予定。同委員会報告書の中間取りまとめにも設置することを盛込んでいる。現在、埋め戻す際の認可など規制制度の面から、検討されているが、「政策面からの検討が必要」などの意見が出され、技術WGの検討テーマとする方針が示された。

TRUの最終処分費用・拠出金単価算定方法は、高レベルと同様とすることを了承、次回会合でエネ庁が試案を示す。


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