[原子力産業新聞] 2007年11月22日 第2405号 <1面>

IPCCが報告書 「温暖化」安定化は可能 ここ20年の努力がカギ

「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、第27回総会をスペインのバレンシアで開催、17日に第4次評価統合報告書と政策決定者向けの要約書を参加国の全会一致で承認した。

同統合報告は、すでに公表されている第1作業部会報告(自然科学的根拠、2月)、第2作業部会報告(影響・適応・脆弱性、4月)、第3作業部会報告(気候変動の緩和策、5月)の3報告書を取りまとめたもの。

要約書では、主題1「気候変化とその影響に関する観測結果」として、地球温暖化は疑う余地はなく、全地球平均温度の上昇、雪氷の融解、海面の上昇が観測され、多くの自然生態系が影響を受けていると指摘。主題2「変化の原因」では、20世紀半ば以降、温暖化は人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が高いとした。

主題3「予測される気候変化とその影響」では、現在の政策を継続した場合、世界の温室効果ガス排出量は今後も2、30年増加し続け、21世紀には20世紀より大規模な温暖化がもたらされると予測。主題4「適応と緩和のオプション」では、気候変化に対する脆弱性を低減させるには、現在より強力な適応策が必要とした。主題5「長期的な展望」では、「既存技術および今後数十年で実用化される技術で温室効果ガス濃度の安定化は可能。今後20〜30年間の緩和努力と投資がカギとなる」と強調した。


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