[原子力産業新聞] 2007年12月13日 第2408号 <1面>

東京電力が保安部会WGに 柏崎海域に「活断層」と報告 保安院も独自探査の方針

原子力安全・保安院は5日、原子力施設周辺海域の海上音波探査を年度内目途に実施する考えを打ち出した。総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会下で、中越沖地震に対する検討を行う耐震・構造設計小委員会「地震・津波、地質・地盤合同WG」(主査=阿部勝征・東京大学名誉教授)で示されたもの。同日のWG会合では、東京電力が、中越沖地震を踏まえた柏崎刈羽原子力発電所海域の調査状況について、発電所敷地からの距離18.5kmの海域に、約20kmの活断層が確認されたなどとする暫定報告も行った。

中越沖地震を踏まえ、原子力発電所の耐震安全性を厳格に検証する観点から、保安院では、施設周辺海域の海上音波探査を、事業者による調査とは別に行う。柏崎刈羽発電所については、電力による調査区域に含まれる海岸線から3〜4km沖の約500平方kmの海域で、年度内にも実施する予定だ。その他の発電所についても必要に応じて、耐震バックチェックの進展、これまでの断層評価結果、気象条件等を勘案しつつ、準備を進める。得られたデータは、既設発電所の耐震バックチェックに対するクロスチェックに資する。

一方、柏崎刈羽発電所の周辺海域調査で、活断層と判明した「F―B断層」は、同6、7号機の設置許可申請時の海域活断層評価では、活断層ではないとしていたが、03年に「褶曲構造と断層の関係」を考慮して東京電力が実施した海域活断層再評価で、活断層である可能性が指摘されていたものの、当時の知見では、これによる地震は基準地震動を上回らないと判断された。「F―B断層」と今回の震源断層との関係は、現在のところ不明である。東京電力では今後、引き続き活断層評価を実施し、断層の深部構造を推定、活断層の連続性について検討し、これら調査結果に基づき、震源モデルを設定、地震動評価を行うこととしている。


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