[原子力産業新聞] 2007年12月13日 第2408号 <2面>

近藤委員長 RANDEC報告会で 「感謝の気持ちが出発点」

原子力研究バックエンド推進センター(RANDEC)は11月29日、都内で同センターが取り組むデコミッショニング研究、RI・研究所廃棄物処理処分事業調査に関する成果報告会を開催(=写真)した。

報告に先立ち、近藤駿介・原子力委員長が来賓として、最近の原子力政策を巡る課題を説明。放射性廃棄物処分地関連では、東洋町の応募取り下げに対し、原子力を全く立地していない地域に対するコミュニケーション不足を第一の反省点として指摘した上で、持てるリソースを傾注して、理解獲得のプロセスを地道に固めていく必要性を強調した。また、「立地地域への感謝の気持ちが出発点。調査地域でも応募した地域には何らかの見返りが必要」などと述べ、文献調査段階からの交付金に異論がないとの考えを示した。

事業報告では、福村信男・技術開発部調査役、千田正樹・企画部長が、それぞれ原子力廃止措置における残留放射化放射能評価システム、中小施設から発生するRI・研究所廃棄物の集荷保管事業化検討について説明した。

処分場立地関連では、本報告会で継続的に登壇した石堂昭夫参事が、応募を検討した地域の状況分析を示しながら、過去3回の調査報告を総括する発表を行った。同氏は、東洋町、余呉町(滋賀)、上小阿仁村(秋田)を例に、人口減少・過疎、財政難にあえぐ中、使命感・切迫感に駆られ処分場誘致が検討されたものの、戦略、手続きの軽視から頓挫に至ったという共通的経過を指摘した。

さらに、「国、実施主体、電力」と「立地県、隣接県、周辺市町村」の相反するベクトルにより、町が二つに切り裂かれるイメージを図示しながら、「自治体内部での意思決定に細心の配慮が必要」などとして、各ステークホルダーがそれぞれの立場・役割から候補地を支援していくことが重要と結論付けた。


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