[原子力産業新聞] 2008年1月7日 第2410号 <1面>

来年度政府予算案決まる 原子力 文科・経産で約4,400億円 今年度とほぼ同額に止まる

政府は12月24日の閣議で来年度予算案を決定した。文部科学省の原子力関係は、概算要求額の今年度予算比8.7%増に対し、同1.9%減の2,614億円。経済産業省の原子力関係は同じく12%増に対し、同2.3%増の1,816億円で、両省合わせた原子力関係は今年度とほぼ同額の4,430億円となった。

文科省の主な施策では、国家基幹技術であるFBRサイクル技術が今年度比8.7%増の290億円で、「もんじゅ」103億円、FBRサイクル実用化研究82億円など。ITER計画等推進は、24日の大臣折衝で15億円上乗せされ、同ほぼ倍増の103億円となった。

また高レベル放射性廃棄物等地層処分技術は同2.5%減の87億円、大強度陽子加速器(J−PARC)計画が39%減の189億円などとなった。

新規施策では、研究施設等廃棄物(RI研廃)処分推進に43億円が認められ、従来の原子力試験研究費を改革する「原子力基礎基盤戦略イニシアティブ」に5億円を計上。文科省予算では原子力関係に入れていないが、国家基幹技術のX線自由電子レーザー開発・利用は同47%増の110億円となっている。

このほか中越沖地震を踏まえた「ひずみ集中帯の重点調査観測・研究」で新規に4億円、世界に卓越した教育研究拠点を目指す「グローバルCOEプログラム」は拠点数が2倍になり、同約2倍の340億円と大幅に増える。

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経産省は、エネルギー特別会計が同3.9%減の7,216億円と厳しい中、原子力関係は微増を確保した。

原子力関係1,816億円の内訳は、原子力の利用高度化に向けた技術開発等の推進が同18%増の178億円、原子力安全・防災対策の確保と向上(保安院の原子力安全分野)が同2.1%増の335億円、原子力発電施設等と地域との共生(各種交付金・補助金)が同1.0%増の1,302億円。

技術開発ではFBRサイクル実用化研究開発が同39%増の50億円、放射性廃棄物対策同15%増の63億円、新規の次世代軽水炉12億円、海外ウラン探鉱関係同20%増の12億円などのほか、原子力国際協力6億円、中小型炉技術4億円などとなった。

保安院関係では中越沖地震を踏まえ、耐震安全性の評価・確認作業の前倒しやその強化・高度化を図るため耐震安全性・防災対策が同42%増の114億円と大幅に増加する。

このほか高経年化対策が1.4%増の22億円、原子力安全の技術基盤強化同2.5倍の18億円、放射性廃棄物処分の調査同36%増の18億円などとなった。


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