[原子力産業新聞] 2008年1月7日 第2410号 <10面>

3〜5号機 数千か所の改造 きめ細かな調整で実施

耐震裕度向上工事の主なものは、3号機〜5号機の共通工事として、@配管サポート改造工事A電路類サポート改造工事B燃料取替機レールガイド改造工事C原子炉建屋天井クレーン支持部材改造工事D非常用ディーゼル発電機の建屋外の軽油タンク改造(建替など)工事E配管ダクト周辺地盤改良工事F排気筒改造工事――など。

その他に3・4号機の土留壁背後地盤の改良工事、3号機のみの余熱除去系熱交換器のサポート改造工事が挙げられる。

工事の具体例

@排気筒の改造工事
例えば、4号機の排気筒の改造例を示す。
地上高さ100mの鋼製自立型構造の排気筒の耐力を増すため、既設排気筒の周囲を高さ90.5mの4脚の鋼管支持鉄塔で囲み、排気筒と接続する構造とした。
両者の接続部には、地震時の排気筒と鉄塔の揺れの差を吸収するため、32台のオイルダンパーを3段に設置した。鉄塔の4脚の下の基礎部分は、鉄筋コンクリート製で直径6m、地下埋設深さ21.5mとなっている。
工事期間が1年以上の長期にわたることから、発電所の運転期間中に工事を行うことが合理的と考え、鉄塔建方用タワー・クレーン自体に免震装置を採用し耐震性を向上させて、想定東海地震に耐えられるように考慮しながら、工事を進めた。

A配管ダクト周辺地盤改良工事
屋外にある配管ダクトは岩盤に支持された地中構造物で、耐震裕度を向上するにあたり配管ダクトに作用する土圧を低減するため、ダクト周辺の地盤を岩盤相当の固さを持つように改良することによって、鉄筋コンクリート製のダクトが地震で損傷しないように強化した。

B配管・電路類サポート改造工事
配管・電路類サポート改造工事は、既設のサポートを改造することから、発電所の停止期間(定期点検)中に工事を実施した。
4号機を例に工事の状況を示すと、配管サポートの工事対象箇所が約200か所、電路類サポートの工事対象箇所が約1,300か所と、改造工事の対象は発電所の広範にわたり、高所や作業スペースの狭い場所での作業も多数発生した。
そのため同時進行する定期点検工事との作業干渉がないように資機材の搬入、作業足場の設置、作業チームを投入するなど、工事エリア毎に綿密な工程管理を行うとともに、資機材運搬時、既設サポートの切断、溶接時の周辺設備の防護養生を十分に行い、06年3月〜6月の定期点検期間中に全ての工事を完了した。


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