[原子力産業新聞] 2008年1月7日 第2410号 <14面>

女川3号 水素濃度高の原因判明 対策は空気供給増など

東北電力は12月12日、女川原子力発電所3号機の気体廃棄物処理系で11月、水素濃度が高くなる異常発生について、原因は酸素/水素濃度比の低下であり、対策として空気供給量増加などを実施するとした報告書を原子力安全・保安院に提出した。保安院は同日、この原因と対策を妥当と評価、併せてBWRを有する他の事業者にも適切な措置を講じるよう指示を出した。

3号機気体廃棄物処理系で「排ガス除湿冷却器出口水素濃度高」の警報が発生し、同処理系の流量が上昇したのは11月10日。東北電力は原因調査のため、原子炉を手動停止した。

同社は処理系の各種機器や急激な水素燃焼などが無いことを確認するとともに、水素と酸素を反応させ水にする触媒の特性の模擬試験を実施した。その結果、酸素/水素濃度比がある値(しきい値)を下回ると急激に反応し難くなり、原子炉出力が低い場合にはこの値が若干高いことも判明した。

このため今回の事象は、出力上昇にともない同濃度比がしきい値より低くなり、水素と酸素が反応し難い状態が発生したことが原因と判断した。

同社ではしきい値を確実に高くするため、空気の供給量を増加させ、流量を16〜19立方メートルに管理するとともに、流量低下の場合には、警報で運転員に知らせるなどの対策を実施する。


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